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vol.18 「情報流出を防ぐ秘密保持義務」 「自転車通勤途上の加害事故と会社の責任」

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2012.11.28                       Since 2011

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第18号

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ィス

― 淀川労務協会 -  です。

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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供してきた
人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に知って頂き
たい事例を毎回2ケース厳選しご紹介させて頂いております。

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.36】 [秘密保持]  情報流出を防ぐ秘密保持義務

【ケースNo.37】 [使用者責任] 自転車通勤途上の加害事故と会社の責任 

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【ケースNo.36】

昨今の企業のアジア展開の広がりとともに、日本企業の製造技術やノウハウな
ど営業秘密流出が先端技術にまで広がるなど深刻化しているという記事を読み
ました。
当社のように新興国等への進出を行っていない企業においても、主に退職社員
による営業秘密の流出をどのように防ぐかは長年の課題です。
退職者による営業秘密の流出を防ぐためにどのような対策を講じるべきなので
しょうか?

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まず、在職中の従業員は、会社に対して誠実に労務を提供する義務を負うほ
か、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならない、という誠実義務の一種
として秘密保持義務を負うことになります。

しかしながら、退職後については労働契約が終了していることから、このような
義務を広く認めることは退職者の職業選択や営業の自由を不当に制約すること
になりかねないため、退職後の秘密保持義務について契約書や誓約書によっ
て退職者との合意を得ておくことが重要となります。
なお、原則として、在職中に知り得た情報の全てを営業秘密とすることはできま
せん。

営業秘密となるためには、①秘密として管理されていること ②事業活動に有用
な技術上又は営業上の情報であること ③公然と知られていないこと、の3つの
要件を満たしている必要があります。
なお、①は従業員が退職する時になって慌てて整備しても手遅れになりますの
で、事前に営業秘密を特定した上で厳格な運用を行い、また従業員への周知と
ともに社員研修などを通じて、情報の持ち出しが許されない行為であると強く認
識させることが大切となります。

その他、秘密保持義務契約等を締結する際は、営業秘密の範囲、価値、退職
者の退職前の地位等を十分に勘案して締結することで、秘密保持義務の合理
性及び有効性を高めることができます。

なお、秘密保持義務契約とともに、退職者の競合への転職等を制限する競業
避止義務契約を締結するケースも多いですが、退職後の秘密保持義務が合理
性を有することを前提として、転職等を制限する期間、エリア、職種、企業側の
利益の程度、退職者の不利益の程度、在職中における代償措置の有無等の事
情が、合理性を有効にするための重要なポイントとなるため注意が必要です。

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【ケースNo.37】

昨今の自転車ブームにより公共交通機関を使わずに通勤する者が増えてきて
いるようです。
仮に通勤途上で従業員が誰かに怪我を負わせた場合、当社がなにか責任を負
う可能性はあるのでしょうか?

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警視庁のデータによると東京都内で生じた交通事故で自転車が関与している割
合は平成18年に33%であったものが、平成23年では37.3%と1割以上増
加しているとのことです。
昨今の自転車ブームもあり、通勤手当の削減や社員の健康確保のため自転車
通勤を奨励し、社内にシャワーブースを準備している企業もあるようです。

しかし、自転車通勤には会社にとって思わぬリスクが潜んでいることがあるので注
意が必要です。

通勤途上は、会社の指揮命令下にはありませんので、通勤中に加害事故が起
きた場合、原則としては会社に使用者責任(民法715条)や運行供用者責任(自
賠法3条)は認められていません。

しかし、福岡地裁飯塚支部平成10年8月5日判決のように、マイカー通勤中の事
故について以下のように判事しているものもあります。

「通勤は、業務そのものではないが、業務に従事するための前提となる準備行
為であるから、業務に密接に関連するものということかできる。労働者が通勤時
に災害に遭った場合に労働災害とされることがあるのもそのような観点によるも
のである。したがって、使用者としては、従業員の通勤状況(通勤の経路や手段
等)を把握しておくべきことはもちろん、進んで、従業員の通勤について一定の
指導・監督を加えることが必要とされるものというべきである。確かに、通勤につ
いては、本来の業務に従事している場合とは異なり、使用者が従業員に対し直
接的な支配を及ぼすことが時間的にも場所的にも困難であることは否定できな
い。しかしながら、通勤手段がせいぜい公共交通機関を利用することによるもの
であった時代から急速に様変わりして、自家用車による通勤が急増してきてい
る近時にあっては、交通戦争と称される程までに交通事故が多発している社会
状況にあることと相俟って、労働者が通勤時に交通事故に巻き込まれ、或いは
自ら交通事故を惹起する危険性が高まっているものといわなければならないか
ら、使用者としては、このようなマイカー通勤者に対して、普段から安全運転に
努めるよう指導・教育するとともに、万一交通事故を起こしたときに備えて十分
な保険契約を締結しているか否かを点検指導するなど、特別な留意をすること
が必要である。そして、マイカー通勤者に対して指導監督をすべきことを使用者
に求めても、決して過大な或いは困難な要求をするものとはいえない。そうであ
れば、いまや通勤を本来の業務と区別する実質的な意義は乏しく、むしろ原則
として業務の一部を構成するものと捉えるべきとするのが相当である。したがっ
て、マイカー通勤者が通勤途上に交通事故を惹起し、他人に損害を生ぜしめた
場合(不法行為)においても、「事業の執行につき」なされたものであるとして、
使用者は原則として使用者責任を負うものというベきである。」

この判事のポイントである「自家用車による通勤が急増し、事故が増加傾向に
あること」や、「会社がマイカー通勤を前提に通勤手当を支給していることが、積
極的なマイカー利用の容認であるとされていること」は、昨今の自転車通勤をと
りまく事情にも当てはまることと言えます。

自転車による加害事故でも以下のように7,000万円近くの賠償を負わされた判
例もあり、マイカー通勤とは違い保険未加入者がほとんどであるため、加害者
が資力に乏しい場合には、被害者の賠償請求の矛先が所属企業に向かうリス
クは一層高まるでしょう。

≪夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進
入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡
した。 (東京地方裁判所、平成15年9月30日判決)≫

以上を踏まえれば自転車通勤を認める場合には企業のとしては以下のような
対策が必要と考えます。ご参考ください。

①自転車通勤を積極的に奨励せず、本人の強い意向がある場合のみ認める。
②手当は支給しない。(支給する場合でも少額とする)
③補償が十分担保されている自転車保険に加入していることを条件とする。
④加害事故が生じた場合の責任は本人が全て負うことを約した念書をとる。
⑤運行管理基準を定めた自転車管理規定を作成し、違反者には積極的に懲戒
を行う。

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部門ま
でお願いします。
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