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(blog) 大阪市に見る労使交渉のあるべき姿

 業務部の三浦です。

 
 先日、大阪市により実施された「組合活動に関する市職員アンケート」について大阪府労働委員会が「市による組合に対する支配介入にあたる」と不当労働行為と認定し、市に対し同様の行為を繰り返さないとの誓約文を組合に交付するよう命じたというニュースがありました。

 
 この判断を真摯に受け止め、橋下市長は「きちんとした第三者機関で判断されたわけで、大変申し訳なく思っている。異議はなく、組合に対し謝罪しなければならない」と会見でコメントしました。

 
 ところが、この謝意が伝えられたにもかかわらず、組合幹部および担当弁護士は「白旗をあげるだけでなく、(組合への対応を)是正することを求めていく」と更にエスカレートした発言を行いました。

 
 このコメントを聞いた橋下市長は「鬼の首を取ったように自分たちが全部正しいとするのは違う」と指摘し、一転して対抗措置を取る方針を示しました。

 
 この一連の流れに対して、「朝礼暮改だ!」と橋下市長を非難するようなコメントをするジャーナリストも多々おられましたが、私は全く別の感想を抱きました。

 
 通常の裁判では判決が出れば、その後に双方が関与することはほとんどなくなります。
一方、労使交渉のもつれによる争いでは、一争議に決着がついた後も退職しない限り同じ組織の中で一緒にやっていなかければない訳です。
 そして、「行政運営を良くしよう」という想いは労使ともに同じ(であるべき)なはずです。

 
 永年、団体交渉の業務に携わって参りましたので、対等であるはずの労使のパワーバランスが崩れた状態で団体交渉が行われていることの重大さはわかります。
 また、相手方に全面的に謝罪することの重みもわかります。

 
 今回は橋下市長に団体交渉の一行為について非があり、これに対して再審査請求する権利はあったものの橋下市長はそれを行使せず、また否定的なコメントも一切せずに勇気をもって真摯に全面謝罪した訳です。

 
 謝罪して頭を下げ改善を約束したのなら、ノーサイド。
 悪かったところは是正すると言っているのだから、組合も歩み寄り、対等な立場で効果的団体交渉を再開すればよいのです。
このような判断が出た以上は、橋下市長も団交時の態度を改めざるをえないでしょう。

 
 ところが組合はまた試合開始のホイッスルを吹いてしまいました。

 
 良い団体交渉を行うことが本来の目的であるのに、組合幹部や担当弁護士は本来の目的を見失い、それ以上に橋下市長を叩くことが目的化していたように思います。

 
 そして、穿った見方をすれば、今回の一部の行政判断をもって組合が今回の争議事項以外の部分についても全面的に正しい(橋下市長があらゆる面で間違っている)とメディアを利用して外部に既成事実化しようと目論んだのでは・・・とも思えます。
 であれば、これはパワーバランスが逆方向に崩れる危険性がある訳ですから橋下市長も黙っている訳にはいきません。

 
 組合側は融和的コメントをすべきであったでしょう。

 
 良い誠実団体交渉を行い、良い労使関係に近づけ、これを良い市政運営につなげる。

 
 綺麗ごとかもしれませんが、労使は駆け引きの中に綺麗ごとを見失ってはいけないと思います。