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(労務問題解決実例)懲戒解雇を検討する際の道標

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2018.7.26                Since 2011

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第65号

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フィス

― 社会保険労務士法人 淀川労務協会 -  です。

http://www.yodogawaroukyou.gr.jp/

このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供し
てきた人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に
知って頂きたい事例を厳選しご紹介させて頂いております。

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.129】 [懲戒解雇] 懲戒解雇を検討する際の道標

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当社は従業員100名程度の輸入卸売業者です。
昨日当社の従業員が通勤途上に痴漢で現行犯逮捕されました。
当社の女性社長は以前から性犯罪への嫌悪意識が非常に高く、懲戒解雇に
すると言って聞きません。社長の指示通り懲戒解雇にすべきでしょうか?

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懲戒処分は一般的に以下のように区分されます。

1)戒告・譴責、2)減給、3)出勤停止・懲戒休職・懲戒停職、4)降
格・降職、5)諭旨解雇、諭旨退職 6)懲戒解雇 

この区分において、「1)~4)」と「5)、6)」とは明確にその目的
が異なります。

前者は当該労働者の問題行為に対し制裁を与えると同時に、改悛を促し再
度問題行為を起こさないように教育、指導する目的も含まれています。つ
まり、改心して能力を発揮し会社に貢献して欲しいという希望が大なり小
なり含まれています。

一方、後者はもはやそのチャンスすら与えず職場から退場させることを目
的としており、生計の手段を失わせ、その後の再就職に際し大きな障害を
生じさせるほどに重い問題行為があったということを社内外に明確に通告
することを目的とした解雇ということになります。

※懲戒解雇処分を受けた場合、履歴書の賞罰欄に記載しなければなら
ないのかというご質問を受けることがありますが、賞罰欄にいう罰とは
「確定した有罪判決をいう」とされているので記載の必要はありません。
(平成3年2月20日東京高裁判決、仙台地裁昭和60年9月19日判
決) 但し、採用面接時に前職の退職理由を細かく聞かれた際に虚偽の理
由を伝えると経歴詐称として後に問題になるケースや、あまりないでしょ
うが前職の離職票を提出しなければならない場合には離職理由に「懲戒解
雇」と明確に記されることになりますので一目瞭然です。

つまり、懲戒解雇を正当に為すためには処分の相当性や手続きの適正が厳
格に求められることになります。

一般的なQ&Aでは、ここから設問に対する懲戒解雇処分の有効性につい
て裁判例を根拠に回答を続けることが多いのでしょうが、ここではあえて
それを避けて違う角度から回答してみたいと思います。

御社のような中小企業から懲戒解雇の相談を受けることは多くあります
が、いくら問題が重大であったとしても懲戒解雇処分をお勧めすることは
まずありません。

普通解雇や退職勧奨ではなく懲戒解雇を行うことで想定されるメリットと
リスクを考えます。

【メリット】

①職場内のモラル維持、乃至、戒めとして今後の問題行為の抑制になる。

②(退職金制度がある場合)退職金を減額、乃至、不支給と出来る場合が
ある。

③(名の知れた企業や大手と直接取引がある企業である場合)新聞等、公
になるような事案である場合に、対外的に示しがつく。

④問題行動を原因として使用者から当該労働者への損害賠償請求等が控え
ている場合に、解雇事由との矛盾が生じない

⑤経営者の怒りがいくらか収まる。(※どんな怒りも時間が経てば抑制さ
れます)

※解雇予告手当は懲戒解雇を行ったことを理由として支払いを免れること
は出来ません。所轄労働基準監督署から解雇予告除外の認定を受ける必要
があり、例え懲戒解雇相当の問題を起こしたとしても、労働基準監督署が
本人と直接連絡をとり事実確認が出来ない場合には認定が下りないことも
あります。


【リスク】

①懲戒解雇が有効とされた過去の判例と極めて類似しているケースを除い
て、争議化する可能性が高まり裁判となった場合に敗訴することも十分考
えられる。         

≪以下、裁判に発展した場合≫

②(勝訴したとしても)時間的、経済的コストがかかる。※弁護士費用は
被告負担

③敗訴したときの使用者側(経営者)の信用失墜と今後の労務管理への負
の影響
※勿論、懲戒解雇を毅然とした対応だとしてプラスに評価される可能性も
あり

④万が一の復職のリスク
※懲戒解雇が争われた訴訟の係属中に懲戒解雇事由をもって普通解雇事由
に該当するものとして普通解雇を予備的に主張することは認められている
が、懲戒解雇を普通解雇へと転換することは否定的に解されている。であ
れば、最初から普通解雇を選択する方が雇用を打ち切る上では容易。

他にも色々とありますが、このように考えると積極的に懲戒解雇を選択で
きるケースは以下のように整理されます。

1) 退職金制度が充実しており、不支給もしくは減額したい
2) 当該労働者に対する損害賠償請求を予定しており理論構成上、退職
事由との整合性を確保したい
3) 社内外の信用やモラルの維持をどうしても優先したい

この目的と過去の判例から予想される勝算とを天秤に欠けて懲戒解雇を選
択するのか、普通解雇(乃至、退職勧奨)をご選択頂くのかをご判断頂く
ことになります。

経験上、このようなお話をさせて頂くと高額の退職金制度がある会社を除
いて「懲戒解雇はやめておくよ」とご判断されることがほとんどであるよ
うに思います。

通勤途上の痴漢逮捕は特に中小企業では一発懲戒解雇は難しいところがあ
ります。

社長はお怒りのようですが、少し時間を置いてから冷静にこのようなお話
をされるのが良いのではないでしょうか。

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部
門までお願いします。
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